Fahrenheit -華氏-
当のご本人瑠華ちゃんは犬と戯れ中です。
フワフワの首を撫でながら、飼い主の…お!結構美人♪とお喋り中だった。
赤い洒落た首輪をしたチワワちゃんは瑠華に撫でられてご機嫌。
しっぽを振って、瑠華の足元にすり寄っている。
美人二人に囲まれてチワワが羨ましい……とそんなこたぁどうでもいい。
『瑠華って呼び捨て!?♪君たちラブラブじゃん?』
と裕二は満足げ。
『んじゃ邪魔しちゃわりぃから切るわ。お土産よろしくね~♪』
裕二…お前ホント何が言いたかったわけ??
そんな思いで電話を切り、俺は瑠華の方を向いた。
瑠華もチワワと思う存分戯れたのか、満足そうだ。
「あの子可愛かった。眉毛がちょっとピヨコに似てたし」
チワワを連れた女の人が去っていっても瑠華は彼女らの後ろ姿を見送っていた。
「ピヨコぉ?あいつ眉なんてあった?」
「ありましたよ」
「いや、なかったはずだよ?」
瑠華はちょっと唇を尖らせると、おもむろに携帯を取り出した。
偶然にも俺とお揃いの海外製の携帯。
それを開くと、待ちうけを俺に見せてきた。
「ほら。あるでしょ?」
待ちうけは黄色いピヨコがアップで映っていた。