Fahrenheit -華氏-



すぅっと息を吸い込む気配があり、





『色々ありがとうございました!



柏木補佐とお幸せに♪!!』






大きな声に携帯がびりびりと震える。


俺はびっくりして、携帯を耳から離した。


すぐ近くに居た瑠華にもその声が届いたのか、彼女も同じようにびっくりして目を丸めていた。


二人顔を合わせて、ぱちぱちと目をまばたかせる。


携帯を見ると、通話は切れていた。


俺たちはまたぞろ顔を見合わせると、ぷっと同じタイミングで吹き出し、笑い合った。


試飲用のワインを用意してくれた店主がびっくりしたように目を丸めている。



緑川



お前にはお前を愛してくれる男が絶対に現れるはず。


だから希望を捨てないで




がんばれよ。







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