Fahrenheit -華氏-
瑠華は持ってきたバッグから、一枚の封筒を取り出した。
薄いピンクの封筒だ。
それを俺に手渡して、微笑む。
まるでマリアのような穏やかな微笑み。
俺は震える手でその封筒を開けた。
中から出てきたのは一枚の写真だった。
その写真を見て、さらに俺は目を見開いた。
映っていたのは、19年前の俺…(小さいな)と―――俺の初恋の女の子―――
柏木 瑠華だった。
「あなたが何故ここにこだわったのか、その理由を最近知りました。
それはあたしのママが送ってくれたものです。
あたしの初恋の人との写真―――」
瑠華の初恋―――………