月影
「お友達と帰ってる途中?」

玲子に聞かれて、深幸はそうです、と答えた。

「…佐月芽衣って言います。あの、青柳さんに聞きたいんですが、青柳さんは小太郎さんとどういう関係なんですか!?」

意を決して芽衣が聞く。深幸は驚いて、慌てて芽衣を止める。

「玲子は恩人だ」

ふと、声がした。
振り向くと、そこには小太郎の姿があった。

「もう。まだそんなこと気にして」

「本当のことだ。事実に変わりはない」

小太郎の意外な答えに、深幸は芽衣と顔を見合わせた。

「よく勘違いする人がいるんだけどね。小太郎は私の家族なの。一緒に住んではいるけど、恋人じゃないわよ」

苦笑いする玲子の言葉に、深幸はそっか、とホッと安堵する。

「それより、時間は大丈夫なのか?」

小太郎に言われて、玲子はハッとした表情になる。

「まっず!ごめんなさいね、呼び止めて。また、よかったらお茶でもしましょう。こた、行きましょう!」

そう言って、慌てた様子でテレビ局の中に玲子は小太郎と一緒に戻っていった。

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