月影
四苦八苦しながら、5分ほどかけて登録をし終えると、終わった、と小太郎が携帯を差し出してきた。玲子はそれを受け取ると、書かれた番号と、小太郎の入力した番号に間違いがないかを確認し、間違っていなかったので、良くできました、と、小太郎の頭を撫でた。

「それじゃ次は…」

電話のかけ方を教える。
さっきの入力に比べると、操作方法も簡単なので、すぐにできた。
試しに玲子の携帯にかけさせたところ、携帯から玲子の声がした、と、かなり驚いていた。

「昔は連絡手段なんてなかったから、大変だったでしょ」

玲子に聞かれて、小太郎は頷いた。

「大事な書簡を運んだり、言伝てを届ける時は、数日間、寝ずに走り続けることとあった」

言われてうんうん、と頷く。

「便利になったよねー…あ、深幸ちゃんに電話してみたら?」

そうだ、と玲子が言うと、小太郎はなぜ?と首を傾げた。

「だって、深幸ちゃんと次にいつ会えるかわからないじゃない?それに、深幸ちゃんも、こたの番号、知りたいだろうし」

そうだろうか?と小太郎が首を傾げたので、取り合えず、かけてみなよ、と玲子に押されて、小太郎は彼女の番号を呼び出して、通話ボタンを押した。
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