月影
「つかさー、あんた、今まで政宗様以外の男に興味持ったことあんの?」

「はぁ?」

「昔はおにいちゃんおにいちゃんっつって、大好きだったじゃん」

芽衣に言われて、思わずかぁっと顔が赤くなるのがわかった。

「あ、あれは昔のことで」

「それ以外であんたの口から、別の男の話が出てきたこと、記憶にないんですけど?」

意地悪く言う芽衣。

「あるよ!?失礼な!」

反論すると、芽衣はふぅん?と勝ち誇ったような顔をしてこっちを見てくる。

「たとえば?」

「うっ……」

言葉に詰まる。
誰でもいいけど、芽衣を言いくるめられそうな男が見当たらない!

そう思っていたときだった。

「あ…」

不意に昨日の男の人が脳裏に浮かんだ。
優しそうな目をしていた、あの男の人。


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