月影
「政宗さんの彼女」

「妹です」

男の子が言いかけたところで、青筋を立てながら深幸が答える。

「だめだよ、怜。失礼なこと言っちゃあ」

コウが言うと、怜は悪びれもせずに、はぁいとだけ言った。

「今日は政宗、もうあがったはずじゃなかったっけ?」

コウに言われて、深幸は頷いた。

「なんか、マネージャーが渡し忘れた物があるとかで」

「あぁ、それで」

コウが笑って言う。
と、後ろから不意に、声がした。

「コウさん、怜さん、撮影、再開するそうです」


あれ…?
この声…


「あ、はい。わかりました」

聞き覚えのある声に、深幸がひょこっと顔をのぞかせたときだった。

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