月影
「あっ!」

深幸の声に、二人に声をかけた人物の動きが止まった。
深幸はあわてて、軽くぺこりと頭を下げる。
相手の男性も、軽く頭を下げた。

男性はそのまま、くるりと方向を変えると、その場を立ち去って行った。
不思議そうにコウが深幸を見る。

「知り合い?」

「ううん、違う。ただ、この間、ちょっと」

答えたときだった。

「ちょっと、何があった?」

にっこりと笑ってたたずむ政宗の姿がそこにはあった。

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