月影
「あぁ、政宗。忘れ物、取にきたんだって?」

コウがなんでもない風に、話をしれっと変える。

「深幸ちゃん、退屈そうだったぜ?」

「うるさい。それより深幸、あいつとは」

「あの人、なんて名前なの?」

深幸が聞く。
怪訝そうな顔をする政宗だが、深幸にじっと見つめられて、思わず答える。

「コタロウ、だってよ」

「ふぅん…」


コタロウさん、か。


深幸はいなくなったコタロウの方をじっと見つめていた。

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