月影
「それじゃ、もう少ししたら、たぶん、政宗くると思うから」

コウに連れられて、スタジオの控室へやってきた深幸は、わかった、とうなづくと、椅子に座って教科書を出し、勉強を始めた。


今日授業でわからなかったところは…っと。


カチカチっとシャーペンを顎でノックしながら、ぺらぺらと教科書をめくっていき、今日、授業で受けた内容のところを開く。

「えっと…この時はこの方程式をつかって…」

ノートを見ながら、自分で解いていく。
と、その時、カチャリとドアが開く音がした。
顔をあげると、そこには先日、コウが怜と呼んでいた男性が立っていた。

「あれ？君、政宗の彼女」

「妹です」

冷やかな目で睨みつけると、視線を教科書へと戻した。

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