月影
仙台空港でタクシーをつかまえる。
人の良さそうな顔をした運転手のおじさんに、市内の予約しておいたホテルの名前を伝えると、車はゆっくりと発進した。

「仕事かい?」

出発して暫くしたところで、おじさんにそう、声をかけられた。
バックミラー越しに目が合う。

「そんなとこです。朝が早いから、前のりしとこうと思って」

苦笑いして答えると、おじさんは「大変だねぇ」と、笑った。

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