月影
「もっと早く言ってくだされば、お迎えにあがったのに」

「何言ってるんですか。先生、今日は夜勤じゃないですか」

「あれ、覚えててくれたんですか?」

「あれだけ言われれば、誰だって覚えますよ」

呆れた声で答えると、先生は笑った。

「しかし残念ですね」

「何がですか?」

「彼が退院しちゃったら、青柳さんとこうしてお話する機会が少なくなってしまいますからね」

先生の言葉に、私は苦笑いした。

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