月影
「いつも一緒にくるコウと、君の話ばっかりしてるからね。それに、政宗が前に言ってた通りみたいだし」

そう言って、今度はエンガワを置かれた。

「あ‥」

そこで気づく。


注文、一回もしてない。


お店に入って席に着いてから、政宗にも自分にも、勝手にお寿司が出てきていたのだ。
よく考えてみると、政宗と自分に出てきていたものが少し違っていた。

「全部、政宗が食べてた時に、君が好きそうだって言ってたものばっかりなんだよ、深幸ちゃん」

にっこり笑う大将に、深幸は恥ずかしくなって、俯いた。

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