月影
玲子と一緒に、建物を出たところで、政宗と彼女を見かけた。

「あ、あの子」

玲子も気づいたみたいで、ふと、口を開いた。

「政宗の妹さん、だっけ?」

確認するように、玲子が呟く。

「あぁ、そうらしい」

そんなことを彼等が言っていたのを思い出しながら答えると、玲子は少しだけ、淋しそうな表情を浮かべた。

「幸姫の通ってた高校と、同じ学校みたい。制服が同じだもの」

俺は、そうか、と、呟いた。
< 78 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop