月影
「これはね、アルバムっていうの。前に教えた、写真を保存する為のものよ」

そこには、幼い少女が写っていた。
一緒に、玲子が写っているものもある。

「…幼い頃の、幸姫か」

懐かしい面影をした少女の写真をみて、小太郎は少しだけ、目を細めた。
そんな様子の小太郎を見て、玲子はふふっと微笑んだ。

「可愛いでしょう?私の、自慢の娘だったの」

お酒がまわっているのか、玲子の頬は少し、赤く染まっていた。
幼少時代の幸姫を語る玲子は、本当に、彼女のことを愛していたんだと分かるくらい、嬉しそうだった。

小太郎は暫く、玲子の娘自慢に耳を傾けた。

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