月影
「あなたを見つけた場所で、一通の手紙を見つけたの。宛先は私。差出人はあの子よ」

玲子の言葉に、思わず小太郎は目を見開いた。

「そこにちゃんと書かれていたの。幸せだって。そしてそれは、あなたから聞いた話しで確信できたわ。書かれていたことは、真実なんだって」

言って、玲子は小さく頷いた。

「それと同時に、あなたはこの世界に来るべきだったんだと、改めて思った」

「何故?」

「あなたも幸せになるべきだからよ」

小太郎はわけがわからない、という表情を浮かべた。

「俺は忍だ。自身の事など、どうでも」

「どうでもよくなんかない」

玲子が遮るように答えた。

「どうでもいいはず、ないでしょ?」

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