猫の手も借りたい
「ほんまに?じいちゃん俺も知りたい!」
写真を手に取りながら、雄大が興奮しだした。春の陽気は心地がいい。今日の雲はいつにも増してゆっくり動いていた。
「さっきまで興味なさそうにしてたのに。」
「それはそれ、今は今。じいちゃんの過去知りたいし。にしてもさ、人の日記を読むことって普通ためらうくない?じいちゃんとか絶対読みそうにないのに。なんで読む気になったの?」
ゆずが庭の蝶々に反応している。今にも飛び出しそうだ。みかんは逆に、今にも寝そうだ。
「“普通はためらう”ね。私にとっての“普通”は日記を読むことだとしたら?」
「え?そうなの?じいちゃんに見られない所に日記隠さないと読まれちゃうじゃん!日記なんかつけてないけど。」