猫の手も借りたい

ゆずが蝶々を捕まえに行ったが、ひらひらと飛んでいってしまった。見るからに残念そうに雄大の膝に帰ってきた。蝶々は嘲笑うように、また、庭を飛び始めた。

「ははは。嘘だけどな。」

「嘘なんかい!」

2匹の蝶々は優雅に花の蜜を吸っている。ゆずはもう少し大人になったら捕まえられるかもしれないな。

「まぁ、雄大。“普通”は自分自身の価値観のことさ。はたまた回りから見た“普通”なこと。“普通”から飛び出たら、“変な人”はたまた“非常識な人”と呼ばれる。それが“普通”だからね。」

「はい?」

雄大は眉間にシワを寄せて、頭上にはハテナマークを浮かしている。

「まぁ、考えろってことだ。ちなみに、お父さんの日記は読まないつもりだった。でも、めくっているうちに気になる文章が目についてね。お父さんが亡くなって30年近くなる。今から読んでも時効だ。それに、お父さんも許してくれるだろう。だから読むことにしたのさ。」

「ふうん、成る程ね。理由は分かったよ。でもさ、いろいろと意味不明なんだけど。」


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