猫の手も借りたい

真田夫妻は当時は珍しい恋愛結婚でした。また、大黒柱の夫が妻に頼るなど、あり得ないことでした。しかし、真田夫婦は恥ずかしいとも何とも思っていませんでした。こんな二人だからこそ、今の会社ができたのです。

「それじゃあ、気をつけて行ってきてください。正美さんのことも私に任せてくださいね。」

「もちろんだ。正美、早く良い相手が見つかるといいな。」

「はい。お父様。」

正美は17才。当時はかなりの行き遅れなのです。お見合い結婚が当たり前な世の中で、恋愛結婚をしようとする方が難しいのですが。本人の希望で、お見合いはさせていませんでした。

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