猫の手も借りたい

「きょ、今日は腹へったし帰ることにするわ。」

女の子の睨みに怯んだのか、裕一は二人の男の子を連れて歩き出しました。途中で入り口付近に立っている武志に気付き、わざとぶつかりながら空き地から去っていきました。

女の子は彼等を睨み続けていましたが、姿が見えなくなったら勝の方を向きました。そして、

「勝君がしっかりせんへんから!いっつもウチに守られて恥ずかしくないん!?自分で言い返せんくて恥ずかしくないん!?」

と、怒って空き地から出ていきました。勝は彼女の背中を見つめていました。そして、武志に話しかけました。

「やぁ、見られよった…よね?恥ずかしいわぁ。」

「い、いや。えっと、あの、その…。」

武志は気まずさから勝の顔を直視することができませんでした。

< 20 / 27 >

この作品をシェア

pagetop