猫の手も借りたい

「まさるさん?ですね。僕は真田武志といいます。真実の真に、田んぼで真田。武道のぶに、志すで武志です。」

勝は目鼻立ちがはっきりしています。いわゆる美少年です。武志は近くで彼の顔を見て、昔あったことのあるポルトガル人を思い出しました。

「武志君や、やね?僕人見知りやから、き、緊張してうまく話せんのよ。慣れたら、普通には、話せるさかい。」

勝は、そう言いながらにっこりと笑いました。そして続けます。

「武志君のは、話し方は大人の人みたいや。ふ、普通に話してくれへん?僕みたいにさ。」

「勝さんみたいにですか?」

「勝さんの“さん”もや、止めてえや。気持ち悪いわ。ま、勝でいいゆうたやん。」


「はあ。分かりました。勝って呼びます。あとこの口調もダメなんですよね。えっと…、僕のことも武志って呼んで。」

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