猫の手も借りたい

「た、武志な。分かった。武志はどこの高等小学校通っとん?」

「僕は先週大阪に来たばっかで1年間こっちに住むだけなんだ。だから、通ってない。」

武志はそう言いながら空を見上げました。山の上に大きな入道雲があり、得たいの知れない魔物が住んでいそうです。勝もつられて空を見ました。

「そうなんか~、一年間なんて短いで。なんか理由があるんやろなぁ。大変やね。ほな、僕が大阪での友達一号やね!よろしく。」

勝はそう言いながら右手を差し出してきました。武志は左手を差し出します。二人は握手をし、お互いの顔を見て、笑いました。それから、ゆっくりと手を話しました。

「勝の話し方、言葉が詰まらんようになったね。もう、僕に慣れたんじゃない?」

「ほんまに?あ、ほんまや。もう慣れたみたいやね。早くてビックリや。」

入道雲はゆっくりと北に向かって動いていました。

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