猫の手も借りたい
裏表紙に真田勇と書いてある。どうやら私の父、勇の日記のようだ。
「お前らよく見ろ。私じゃなく私のお父さんの名前が書いてあるだろ?悟のじいさん、雄大のひいじいさんだ。」
「そんなの読めないよ。」
雄大が呟いた。近頃の若い者は、まったく。もっと勉強をしなさい。
ペラペラめくっていると「大阪でのこと、武志が近所の子供二人と友達になる。」と書いてある部分があった。武志とは私の名前だ。
これは…。
「お父さん!あなた!雄大!昼御飯よ!」
悟の妻の裕子さんが母屋から私たちを呼ぶ。私はこの本を持って倉から出ながら、今日の倉掃除を中止にすることを悟と雄大に伝えた。