大きな栗の木ノ下で♪
ある街の丘で
『ねぇ、…落ちたよ』



 ̄ ̄ ̄ ̄
小さな手が僕の髪に触れ優しく撫でてくる
それが気持ち良くてついうとうとしてしまう


「起きて,…ねぇってば」

ゆさゆさと揺さ振られさすがに起きなきゃいけない衝動に駆られ僕は薄目を開けた

まだ起きない頭を犬が水しぶきを飛ばすような動作でゆっくりと振った


「今日はあの丘に連れてってくれるって…昨日言ったじゃん!」


あの丘とはこの街唯一の自然が広がる場所で、僕たちの秘密基地もそこにあった
遊ぶのが仕事の僕たちにとってはなくてはならない場所でもあった


僕はようやく動き始めた頭を掻きながら、めんどくさいと言わんばかりの表情で頷いた

「やったぁ!…早く行こうっ!!早く早くっ!!」


僕の答えを聞くなり勢いよく袖を強く引っ張る
僕は立ち上がろうとしてた瞬間だったから上手くバランスが取れなくてそのまま派手にずっこけた


「アハハ♪」
彼が無邪気に笑う
僕は涙目になりながら、彼を睨んだ
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