大きな栗の木ノ下で♪
僕は当時皆と遊んでいて
帰るところだった


急に誰かに呼び止められたような気がして、脚を止めた


囁くような天使のように綺麗な声で、悪魔の様な冷たい眼差しが背中に感じた

嫌な汗が頬を蔦っていき、喉がからからに乾いてきて生唾を飲み込んだ


友達は皆前を歩いていて気付いていなかった
ねぇっ!

僕は誰かに聞こえる様に声を出したけど…ダメだった誰ひとり気付いてくれなかった


ねぇってばっ!…僕の、…僕の声が聞こえないの??

僕の悲痛に似た叫びは届かず代わりに、後ろの女の子が答えた
『フフ♪…無駄よ。解らないなんて愚かね…でもそこがまた人間くさい感じで好きよ♪♪』


艶やかな声に皮肉にも似た言葉は耳を塞ぎたくなるような衝動に駆られた
聞きたくないのに身体は動かず、ただ震えているだけだった



…君はいったい何なの?


僕は恐る恐る振り向いていた
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