ヤンキー彼女とヤクザ彼氏
触らぬ優衣に祟りなし。




ほっとく。





「ハル、優衣は怒りが収まるまでほっとけ。俺らに怒ってるわけじゃねぇみてぇだから。」

「わかりました。」






大丈夫だろ。








そのあと、風呂に入ろうとしたとき、ケータイに汐莉から電話がかかってきた。




なんだ?





「もしもし。」

「あ…若頭?」

「おう。まさか汐莉から電話くるとはな。」

「うん…。あのさ、優衣…イライラしてる?」

「あぁ…。なんか知ってんのか?」

「あたしのせいだ…。」




汐莉のせい?




どういうことだ?





「ごめん、若頭…。」

「謝るなら汐莉が何とかしろよ。」

「あたしは…優衣のそばにはいられない。若頭、優衣を頼むね?」

「はぁ?何言っ…」






切れた…。





訳わかんねぇ。




けど、何とかしてやろうと優衣の部屋に向かってる俺。




彼氏ってか、もう父親かってかんじだな…。





とにかく、優衣には甘いらしい。







部屋の戸をノックする。





「優衣ー?起きてるか?って、起きてるよな。開けろ。」





返事なし。




それで俺が諦めると思ったか。





「優衣!開けねぇとドア破るぞ!」





やっぱり返事なし。




頑固な奴だ。





「おい、優衣!!入れろ。優衣に会いたいから…。」





そう言うと、ドアがゆっくり開いた。




隙間から、赤い顔した優衣が顔を出した。






「あたしは会いたくないし!しかも起こすなって言ったじゃん…バカ。」

「くくっ、入るぞ。」





カワイイ奴…。





中に入って、俺が座布団に座ると、優衣は体育座りで座った。






「…どうした?汐莉だろ?」

「なんで…。」

「汐莉から電話きた。」




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