ヤンキー彼女とヤクザ彼氏
◎優衣



多少のことならすぐ立ち直れる。




…そう思ってた。




今の両親の娘になったときだって、割とすぐ立ち直れた。





自分は前向きだって思ってた。






だけど違ったんだ。




あたしはどこまでもダメダメだな…。





初めて恐怖を知った。





あたしに対する憎悪でいっぱいの妹というやつが怖い…。




どこまでも消えてくれないあの人が怖い…。




あの子を精神的に追い詰めた自分が怖い…。




あたしが…殺したんだって…。







動きたくない。




外に出たくない。




誰にも会いたくない。





こんな風に思うのなんか初めてだから…。






「優衣?朝だぞ?起きてるか?」






そっか…今日平日か…。





いつまでも来ないあたしを心配した駿が、部屋まで来た。




でも…見られたくない。




あたしを。





「今日…学校行かねぇから…。」

「…そうか。でも出てこい。みんな待ってるぞ?」






山寺組のやつらはみんないい奴ばっか。




…だからこそ怖い。





あたしをどう思うんだろう。




あたしはあの子をあんなになるまで追い詰めた、人殺し。





「……。」

「まず、俺を部屋に入れろ。」





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