ヤンキー彼女とヤクザ彼氏
落ち着け…。




あたしにはみんなが居るし…




何より、駿が居る。





「こんな時間に家出てること、あの人知ってんのか?」

「…そんなの…お姉ちゃんが一番わかってるでしょ。」

「バレたらヤバいぞ。」

「そう思うならアンタが家に戻ってよ!!」





あたしは運良く捨てられたけど…




あの人がまた同じことをするとは思えないから。




きっとこの子は一生あの家の子だ。





「もう…こんなことやめろよ。意味ねぇってわかってんじゃねぇの?」

「それでも…こうしないと…。」

「いくらあの人がお前を優衣って呼んだってお前はお前だ。」

「…青山さんからあなたの今の状況を聞いて…。羨ましかった。だからムカついた。」





この子の気持ちはわからなくもない。




昔は、あたしだってまわりの子みんな嫌いだったから。





「あたしは…戻れないし戻らない。だけど、お前にはちゃんと生きてほしい。」

「…周りの人巻き込んでも家は変わらない…。もう、いいよ。」

「え?」

「あたしはあたしで、家から出るか家を変えるしかないじゃない。」





何がきっかけで考え直してくれたかはわかんねぇけど…。





よかった。






「名前、教えろよ。」

「…亜依。」

「亜依、な!頑張れよ!あたしに出来ることあったら言えよ!」

「ありがと。」






やっと名前がわかった。




名前思い出せて良かったな…。






「安い芝居は終わりですか?」

「青山…!」

「青山さん…。」

「あなたの役目は終わり。なに簡単に心変わりしてんのよ。つまんねぇな。使えねぇコマはいらねぇ。はやく消えろ。」

「…っ、失礼します。」





亜依は走って帰って行った。






「せっかく復讐心煽ってやったのに、簡単に鎮火されちゃって…。ここに来た意味すらないじゃない!」





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