ヤンキー彼女とヤクザ彼氏
「で?何の仕事?」

「書類にサインするだけ。って言ってたくせに〜。」

「書類なんてそうそうねぇだろ。」

「まぁ。…特に大変なことはねぇよ。ただ、門倉が体制立て直してまた山寺に刃向かう気らしいわけ。…もう本格的に潰していい?」

「許可する。」

「了解。」





平和を好む山寺組のルールとして、本格的に組を潰すには頭か若頭の許可が必要。




頭…俺の親父は今いねぇし、俺も優衣に付きっきり。




申し訳ない。





「組の連中は?」

「やべぇよ。」

「は?」

「全員優衣の見舞い行きたがってんの!アイツら来たら柄悪すぎて…。」

「はは!追い出されるな。」





優衣は組全体に好かれてんだな。




まぁ優衣は俺のだけど。




「あいつ等にわりぃって伝えといてくれ。」

「あぁ、先にあいつ等から伝言。」

「は?」

「『わりぃとか思わないでください。ここで組に残ってる若の方が嫌です。』だとよ。」

「バカか…。」





きっとこんな組ウチぐらいだぞ。




マジで山寺で良かったかもな…。





「あれ、駿泣いてんの?」

「おい、よく見ろ。どこに泣いてる要素がある?」

「嘘も真実になる…。」

「待て!まさかお前…」

「みんなに伝えとくね。…駿が泣いてたって…。」





ニヤッと笑った宇佐。




アイツ最悪。




俺が若頭としての威厳無いのは半分アイツのせいだな…。




俺は宇佐を見送ってから病室に戻った。





「おかえり。」

「お。大人しくしてたのか?」

「失礼だな…あたしだって…いっ!」




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