ヤンキー彼女とヤクザ彼氏
◎駿



今日は親父…つまり組長に、全員出席で行けっていう仕事があった。




だから優衣は迎えに行けなかった。





優衣はむしろラッキーって言ってた。




俺も油断してたんだ。





今回は山寺組だけの仕事なんだから、風林火山の誰かに任せればよかった。





屋敷に帰ってきたら誰もいなくて。





汐莉ってやつと遊んでるんだと思った。





でも連絡もなしに夜の11時になった。





やっと気づいた。





優衣は…誘拐されてる。





そして組全員に声をかけて、今捜索中。






「くそっ…!」

「駿。焦るな。龍達には強力頼むか?」

「まだいい。ヤバくなったら頼む。汐莉ってやつの連絡先は?」

「これだ。」

「ありがと。宇佐も行ってくれるか?」

「あのなぁ…お前は命令口調でいいんだぞ?行ってくる。」





俺が悪いのに…命令口調なんて出来るかよ…。





俺は宇佐に渡された番号にかける。





「…はい。」

「もしもし、山寺組若頭の山寺駿だけど。」

「あぁ、若頭!!何の用ですか?」

「優衣と…今一緒か?」

「違うけど…優衣、いないの?」





汐莉の声が低くなった。





「あぁ。連絡もなしにまだ帰ってこない。」

「普通のヤンキーなら心配することないけどね。あの子は違う。…何が情報は?」

「まだ何も。」

「そう…。あたしも探すわ。」

「やめとけ。親が心配する。」

「んなこと言ってる場合じゃねぇだろ?」





初対面でもわかる。




コイツ今キレてる…。





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