ヤンキー彼女とヤクザ彼氏
◎優衣



口のガムテ取ってほしい。




つーか腹減った。





「ふぉい!ふぁどふら!」

「なんだよ!?ガムテしててもうるせぇな!!」





喋れねぇ、動けねぇ。





イライラしてきた。




マジで解放されたら殺っちゃっていい?





「んー!んー!」

「あーもう、なんだよ!?剥がしてほしいのか!?」





必死で頷く。





「…剥がす代わりに大人しくしてろよ?」





門倉は口に貼られたガムテを思いっきり剥がした。






「いってぇな!!もっと丁寧に剥がせよ、ハゲ!」

「もっかい貼るぞ!?」






とりあえず、声が出せるようになっても動けなきゃな…。





「なぁ。」

「なんだよ?」

「駿来なかったらどうすんだ?お前。」

「はぁ?それってお前が見捨てられたことになんだぞ?」

「あたしなら大丈夫だと思ってるかもしんねぇんだよな。」

「そんな男じゃねぇだろ。」






なんだ、コイツ。




駿のことわかってんじゃん。





「なぁ。」

「うるせぇな!」

「腹減った。」

「我慢しろ。」





マジかよ…。




くそ…帰ったら死ぬほど食ってやる…。





「おせぇ。」

「なぁ、駿ってこの場所知ってんのか?」

「知るわけねぇだろ。」

「誘拐したのが誰かは?」

「知るわけねぇだろ。」

「じゃあ、0から探さなきゃじゃん。」

「あ。」






やっぱコイツ、バカだ。




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