恋愛鏡
ノー天気に笑う冬真を見てると、いっそのこと佐々木さんの本性をバラしてやろうかと思うけど、なんだか虚しくなってやめた。
『高谷はさー、好きなやついねぇわけ??』
冬真だよっ!!
と、心の中で激しいツッコミを入れる。
「いないから~っ。今は運命の人探し中なのっ」
雑誌には、振り向かせる方法~なんて
いろんな特集が組んであるけど。
私も読んじゃうんだけど。
そんなこと実際出来ないわけで。
そんな自信、私にはないわけで。
『ふぅ~ん…あっ!』
「なに?」
『3組の谷原が、高谷のこと気になってるって言ってた』
谷原?聞いたことない。
私の高校には9クラスあって、ほぼ2年高校に通っていても、まだ見たことないような人もたくさんいる。
「それ、本当~?」
『まじまじ!だって本人から…あっ!誰にも言うなって言われてたんだった…』
うわ~って本気で落ち込む冬真を見て、思わずふきだした。
「あははっ…冬真、ドジすぎるでしょ?」
『やっちまったー…高谷~内緒な?…』
そうやって子供みたいにお願いしてくる冬真は、本当に可愛い。
「しょうがないなあ。聞かなかったことにしてあげるよ♪」
『サンキュー!高谷って優しいよな~』
「でしょでしょー」
そんなこと言って、二人で笑いあった。
これ以上のことは、願わない。
だから神様…
この幸せを私から奪わないでください…。