どうして言えなかったんだろう
「なんで?やだよ。いや。いやだいやだいやだ」
と呟いた。小さく細い声といっぱいの涙で。

最悪なことに今日は塾。
いつもどうり席についた
授業は数学。拓也先生だ。
いつもどうり明るく振る舞った。
「あ、戸田先生。そのこプリントください」
その名前を聞いたとたん鼓動が早くなった。
すぐ近くまで戸田先生がきた。
思いとは裏腹に体が震え出す。シャープペンが激しく震え文字が読めないほどに。
「おい!どうした」
真っ青な顔をして震えている私を見て拓也先生が声をかける。
「気持ち悪い…」
同時に吐き気と目眩に襲われた
「おい誰か親に連絡してくれ!!」
声が遠くなっていく。
「戸田先生家分かりますよね?送っていってもらえますか?」
それを最後に何も聞こえなくなった。
< 10 / 10 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop