どうして言えなかったんだろう

初恋-hatsukoi

キーンコーンカーンコーン
「終わったー!!」
6時間の強制学習に今日も耐えきった男子達が授業終了のチャイムと共に教室を駆け出した。



中学二年の春が近づく頃
私は恋をしている。
2年3組小栗夢茄(オグリユメナ)
チャラいと有名な今時の
ギャルぶってる中学生だ。

私は急いでローカーへ走り
落書きだらけのスクールバックを引き抜いた。
「また明日ね」
笑顔でクラスメイトに挨拶をし
一目散に校門へ急いだ。
「夢茄」
愛しい声。
今日は2人の1年目の記念日。
何かあったわけではないが
誰と付き合っても人を好きになることがなかった私が
1目惚れというありえない感情をもったのがこの凖だ。

浅倉凖(アサクラシュン)
チャラKと呼ばれるほどチャラいやつが集まる私立のK高校の生徒。


息を切らしながら
「まった?」
すると優しく微笑んだ
「まった!」
いじわる!と私が言うのを見て彼は楽しんでいるのだ。
まったくドSなやつである。
「ま!とりあえず早く乗れよ」
言われるがままに自転車にまたがった夢茄はスカートが折れていないか確認し、OK!と言うように凖の腰周りの服を握った。
今日は2月28日。記念日は29日なのだが残念ながら4年後まで記念日を待っていられないので28日の今日お祝いをするのだ。
「ねぇ凖?もう1年も経ったんだね。早いよねぇ」
「そぉだね」
あっけない返事
最近こんな感じでちょっと冷たい
少し倦怠期なんだと思ってほっといている
でも本当は寂しいんだよ?
「ついたよ。はい降りて!重すぎて肉離れするかと思ったわ。」
ニヤニヤしながらそういう彼に私は顔をフグのように膨らませた。
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