どうして言えなかったんだろう
「おじゃましまーす」
誰もいない。
凖は家に連れてきてくれる日は必ず親がいない。一年間付き合っているが一度も親に会ったことはない
あたしんち来る?と聞いても親が居るからという理由で来たことはない。
「夢茄」
「ん?」
ぎゅっ。
凖はいつも抱き締めてくれる。
温かくて心地よい。
でも抱き締められたら次は必ずセックス。
「したい。」
ほらきた。
「分かったよ」
まだ外は昼間。
高校生の凖にはお構い無しである。
凖と私は服を脱ぎ、温かい布団の中で一つになった。
午後6時前、そろそろ凖の親が帰ってくる時間。
「そろそろ帰るね」
うん。と言うかのように凖は立ち上がり玄関まで見送ってくれた。
「またな」
「またね」
凖の家から私の家まで徒歩3分。最初は家まで送ってくれたが今では一人で帰る。
セックスして帰る。最近はその繰り返しだった。
会えばセックス。帰宅。とてもラブラブカップルとは言えない。でもそれでもよかった。
好きだから。
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