どうして言えなかったんだろう
家に帰ると受験生真っ只中の私は塾へ直行した。
「こんばんは。」
マンツーマン制の塾なのでたくさんの先生と仲がいい。
その中でも一番仲がいいのは国語の戸田先生。兄と同級生で家が30秒ほどのところにあるいわゆる幼馴染みだ。
「で、持ってきてくれた?」
「もってきたよ!」
人気ドラマを焼いたDVDをバッグから取り出した。
塾の先生と言う職業上見たいドラマなんて見れないのだ。
DVDを渡すのをきっかけにアドレスを交換した仲だ。
「次も頼むよ」
「まかして!」
雑談を交わし授業に集中した。
90分の授業が終わり家に帰りシャワーを浴びた。
凖の事をボーッと考えていた。
「凖、冷めたのかな。別れた方がいいのかな?でも好きだよ…」
自分の部屋で布団にくるまり、涙を流した。
♪〜
携帯が鳴る。
いつの間にか午前2時を回っていた。
着信は戸田先生だった。
「はいもしもし」
「夢茄ぁ〜?今暇?」
酔ってるのか?口調がいつもと違う。
「暇だけどどうしたの?こんな時間に」
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