サクラの季節に。





「……サク」


「何でもないっ!」



何かをあたしに、海千は伝えようとする。


…聴きたくない。


聴きたくないよ。



…聴きたくない…。





「……サク」


「ちっ…違うの、海千っ 
 科学のノート写してなかったから
 借りようとしただけだよ…っ
 でも用事だもんね、ごめんっ」




カツカツカツカツと、上靴が鳴り響く。

階段に反響する。




…もう、嫌だ


消えて無くなっちゃいたい…。




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