サクラの季節に。
「…なにしたの?」
暗くない?
と礼くんが笑う。
「そうかなぁ?」
とあたしはおどけてみせる。
…もう、どうしていいか分からない。
分かりたくもない。
海千とあたしは、ただの……。
……ただの、
“ オサナ、ナジミ”
「…うっ…ぁ…」
なんでなんだろう。
嬉しかった。
海千が、幼馴染みでいてくれることが。
「…ふっ…うぅ」
でもね、嫌なんだよ。
足りないの…。
全然、足りないの…
海千…。