サクラの季節に。





ふいっ、と

あたしから視線を逸らす海千。


「…ま…っ み、ち」


ぎゅうっと、強くなる。


礼くんの力強い腕が。



「――行くなよ。」


「れ、いく……、」


「ずっとずっと、美生を好きだったのは俺だよ?」


また、締め付けられる体温。


強く、強く、―――強く…、



…あたしは、


この腕を払うことなんか



………出来ない…。





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