サクラの季節に。
「ねぇ、海千…。
バレンタインのチョコレート、貰って…くれる?」
3日遅れになっちゃったけど…
「もちろん。」
4年越しの想いが、届く。
「じゃ、早めのホワイトデーのお返し。」
チュッ、
近くに、リップ音が響く。
甘く、甘く……。
とろけるように。
おとぎ話のなかに入り込んでしまったみたいに。
「美生、手、繋いで帰ろーか」
…このときは、まだ知らない。
これから彼にどれだけあたしが
染められていくのかを。
サクラの季節に、
あたしは、あなた色に染められていく。
The END