サクラの季節に。





バレー、という競技にさえ、

興味が沸かなくなって。



あたしは、バレー部から消えた。



…もう、学校でさえ嫌になった。


重い足取りで登校する。


…もう、顔の筋肉は、元のように柔らかい表情を作ることはない。




水色のマフラーに、顔を沈め、昇る太陽に背を向けて歩き出した、そのとき。



「…―――サクラ。」


「海千……。」




柔らかく、すべてを察した瞳で



海千が、あたしの隣りに並んだ。





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