危険なペット様との関係
「ユウは……
ユウは一体、何者なんですか…?」
名前しか知らない。
誕生日も
住んでた場所も
年齢も
あたしはユウについて何も知らない。
それが……嫌だ。
でも、あたしと出会う前から知ってる月舟さんなら、何か知ってるかもしれない。
そんな希望を抱いて、隣に座っている月舟さんを見る。
「ハハッ。奈央さんはずいぶんとおもしろい質問をしますね。」
「す、すいません…」
「いえ、謝らないでください。ただ………僕は…その質問に答えられそうもありませんね。」
「え…?」
どことなく寂しげに見える微笑みを浮かべながら、月舟さんは目を細めた。
その視線の先には、いつの間にか着替え終わったユウが接客をしていた。
相手は、前にここへ来た時に話しかけてきた綺麗な女の人。
少しだけ、胸が痛くなる。
あたしはそれを誤魔化すように首を横に振った。