危険なペット様との関係
「奈央さんは…知らない方が幸せなことは、知らないまま笑っていた方が良いと思いませんか?」
「……それ、は…ユウのことは知らない方が良いということですか…?」
もちろん、月舟さんはあたしの質問には答えなかった。
でも、どこかいつもと違うように微笑んだ月舟さんを見れば分かる。
言われなきゃわからないほど子供じゃない。
ユウのこと…
知らない方が幸せなのかな…?
「あぁ、奈央さん。そんな暗い顔をしないでください。…そうだ。何か飲みませんか?」
「…そうです、ね。いただきます。」
無理に笑みを浮かべる。
だって、やっぱり…
知らない方が良い、だなんて
なんだか突き放されたような気がするから…
でも、知ってまで知らなかった時と同じように笑っていられる自信はない。
あたしは月舟さんに渡されたオレンジ色の飲み物をグイッと飲み干した。