危険なペット様との関係
────逃げてるんだ。
気づいてしまったこの気持ちからも
目の前で笑っているユウからも
今までと変わることが嫌で…怖くて
必死に目を背けようとしてる。
涙で霞んだ視界の先に
もう、ユウの姿はなかった。
「…あ、れ?」
「ユウでしたら、お客様をお送りにいきましたよ。」
「え?」
まるであたしの心が読めているかのように月舟さんが答えてくれた。
いきなり声をかけられたことよりも、心で思っていたことに答えたことに驚いた。
「ユウを探していたのだと思ったのですが…違いましたか?」
「え?あ、いえ…思ってたことを言われたので驚いただけです。」
「あぁ、それは僕じゃなくても分かりますよ。奈央さん、全て顔に書いてありますから。」
「えっ?!」
とっさに顔を両手で覆った。
指の間からチラッと、満面の笑みで笑っている月舟さんが見えた。
騙された……
恥ずかしくなって、ますます顔を手で覆う。