危険なペット様との関係
「たとえ嫌われても、もう話せなくなっても…
ユウが好きです。
自分を守ることよりも………大切な人だから。」
だからね?ユウ……
もう少しだけ、この腕を離さないで欲しい…………
その時、寝ているはずのユウの腕の力が………ほんの少しだけ強まった気がした。
「…奈央さん。ユウを連れて帰ってあげてください。」
「でも、…」
「大丈夫ですから。」
「…わかりました。」
あたしは頷いて店の外へ出た。
店の外には月舟さんが呼んだのか、タクシーが止まっていた。
「奈央さん。あなたは自分で思っているよりも素敵な女性ですよ。」
「へっ…?」
「少なくとも、僕がユウに嫉妬するくらいは…ね?」
「つ、月舟さんっ?!」
「はいはい。ほら、早くしないと。」
月舟さんは冗談ぽく微笑んで、あたしとユウをタクシーの中へ押し込んだ。
「あ、あの!いろいろと……ありがとうございました!」
月舟さんは何も言わずに、いつも通りの綺麗な笑みを浮かべて手を振るから
あたしはもう一度だけ頭を下げてタクシーが発車した。