危険なペット様との関係
「いらっしゃいませ。新祇様でございますね。こちらへどうぞ。」
中居さんの後にスタスタと続く萌香を追いかけて、あたしも蒼空君の腕をひいて歩く。
その時
窓際にいる男の人が目に入った。
その人はずっと、あたしの方を向いていて
目が合うとニコッと微笑んだ。
明るい茶髪でいかにもチャラい。
人懐っこい笑みを浮かべたまま、こちらを向いている。
「…奈央?なにぼーっとしてるのよ。」
「え?そこの人が……あれ?」
いない…?
萌香に声をかけられて次の瞬間、明るい茶髪はどこにも見えなくなっていた。
「もう…早くしてよね。」
「え?どっか行くの?」
「海。せっかくなんだから、行った方がいいでしょ。」
「あ、そうだね!」
「私、先に行ってるから、荷物置いたら来て。ほら、蒼空行くわよ。」
「…ママといきたい。」
蒼空君がぐずるように萌香を睨んでからあたしを見る。
萌香も蒼空君を睨んでからあたしを見る。
「え…えっと………そ、蒼空君?あとですぐ行くから、萌香と先に行ってて?」
「……わかった」