危険なペット様との関係
「蒼空くん…?」
「ママは………ぼくのこときらい…?」
「え…?」
“ぼくのこときらい…?”
そう呟いた蒼空くんは、決してこっちを向かなかったけど
その小さな背中が小刻みに揺れていた。
「…嫌いじゃないよ。」
そう言って、後ろからギュッと蒼空くんを抱きしめる。
「…好き。大好き。」
少しでも、蒼空くんにあたしの気持ちが伝わるように…
“嫌いじゃないよ”って
“大好きだよ”って
小さな体をギュッと抱きしめる。
「…ほんと?」
「ほんと。」
「ほんとのほんと?」
「ほんとのほんと!だから……そんな寂しそうな顔しないの。ね?」
蒼空くんは小さく頷いた。
きっと…
子供の蒼空くんなりに、お母さんが仕事で忙しいとか
いろいろと感じることがあったんだろうけど
それはあたしには分からないし、分かるはずがない。
だったら、今この瞬間だけでも、笑っていられる方がいい。
こっちに振り向いた蒼空くんの目にはもう、雫はなかった。