危険なペット様との関係



 * *






夕方。



あたし達はアイスを食べながら座っていた。



でも、さっきまでみたいな盛り上がりはなくて



誰も喋らないけど、心地よい風が流れていた。



蒼空くんもきっと、わかってるんだ。



もうすぐ帰らなきゃいけない、って。



“帰ろう”



誰かがその一言を言ったら、帰らなくちゃいけないって。



ユウもあたしも、そのことはよく分かってる。



分かってるからこそ、言えない。



「蒼空くん……帰ろっか。」



あたしの言葉で、蒼空くんの手が止まった。



食べかけのアイスが溶けていく。



「また来よう!一緒に」


「…うんっ!」



笑顔で頷いた蒼空くんの頬は少しだけ、涙で濡れていた。



そんな蒼空くんの頭を優しく撫でる。



そしてアイスを食べ終わったのを確認すると、行きよりも少しゆっくり歩いて駅に向かった。














< 75 / 150 >

この作品をシェア

pagetop