危険なペット様との関係
* *
夕方。
あたし達はアイスを食べながら座っていた。
でも、さっきまでみたいな盛り上がりはなくて
誰も喋らないけど、心地よい風が流れていた。
蒼空くんもきっと、わかってるんだ。
もうすぐ帰らなきゃいけない、って。
“帰ろう”
誰かがその一言を言ったら、帰らなくちゃいけないって。
ユウもあたしも、そのことはよく分かってる。
分かってるからこそ、言えない。
「蒼空くん……帰ろっか。」
あたしの言葉で、蒼空くんの手が止まった。
食べかけのアイスが溶けていく。
「また来よう!一緒に」
「…うんっ!」
笑顔で頷いた蒼空くんの頬は少しだけ、涙で濡れていた。
そんな蒼空くんの頭を優しく撫でる。
そしてアイスを食べ終わったのを確認すると、行きよりも少しゆっくり歩いて駅に向かった。