危険なペット様との関係
表通りに出た交差点のところで、彼が止まる。
「…どっち?」
「へ?」
「家、どっち?」
「あ、えっと…ここを右に行ったらすぐのマンション。」
「わかった。」
っていうかあたし…
こんな簡単に個人情報教えちゃっていいのかな…?
なんか危ない気がしてきた…
でも、かといって、あのまま置いて帰るなんて、あたしには出来ないんだけど。
また彼が歩きだして、あたしは小走りになりながら彼の後を必死で追った。
「何号室?」
「……809」
彼はあたしがちょっと不安になって来ていたのを感じたのか
さっきまで強引に掴んでいた手首を離して、その手があたしの頭を優しく撫でた。
なんでだろう…
たったそれだけなのに、大丈夫な気がしてくる。