恋心の殺し方
――私の心は死んだ。
「煌、見て!遼が手振ってるよ」
煌は、虚ろな目をずううっと動かした。
遼を視界にいれないように。
・・
「山崎が必要としてるのは、さくらだよ。私の事は良いから、行ってきなよ」
さくらは、煌を見た。
同情でも、哀れみでもない。
友達を心配する眼差しだ。
さくらはしばらく、煌を見たあと遼のところへ走っていった。
もう、良いんだ。
所詮、私には恋なんてできない。
恋をしたせいで、彼を見すぎたせいで、友達を彼にとられた。
大事な友達を、彼に奪われた。
私の心を引き裂いただけでなく、友達までも私からとった。
最低な彼。
酷い彼。
人間失格の彼。
そんな人に恋をした私を、心から憎んだ。